【新宿西口店】一の倉沢烏帽子沢奥壁 ‟ディレッティシマ”

 

 

【行程概要】

10月2日(水)

新宿駅~土合駅~一の倉沢出合~ディレッティシマ~懸垂下降~一の倉沢出合~土合駅

 

 

【山域、ルート概要】

一の倉沢は国境稜線から派生する、東尾根と一ノ倉尾根に囲まれた沢で、風雨や雪崩の影響を受け半円状に抉りとられた側壁に多くの岸壁を持つ圏谷です。

標高は低いながらも高差は1000m近くあり、アプローチも近いことから人気の山域です。

 

ただし、岩質は石英閃緑岩という脆い岩で構成されています。

また、谷川周辺が雨や雪の多い山域であることから、草木が壁から伸びている箇所が多数あります。

草木は水を蓄えるため、そこから水が染み出し、苔を繁殖させるという、お世辞にも登りやすいとは言えない壁です。

しかし、こういった悪条件の壁を克服することがアルパインクライミングの醍醐味と捉えている方は多いです。

私は硬い岩の方が好きですが。

 

 

下図赤線が今回のルートです。

 

 

今回選択した“ディレッティシマ”というルート名は、イタリア語で“とてもまっすぐな”という意味らしく、文字通り烏帽子沢奥壁をまっすぐ登っていくルートです。

少々見辛いですが、下図青線がディレッティシマ。

 

変形チムニーのすぐ左を登っていく感じです。

 

 

【行程詳細】

9月18日(火)

前述のとおり、谷川岳はアクセスの良い山です。

ということで、前夜発はせず朝始発で土合駅に向かいます。

土合駅到着は8時33分、スタートとしては遅すぎますが、まあ行けるだろうと慢心。

後で痛い目を見ることになります。

 

晴れていた、ということもありますが、低山なだけあってこの時期でも歩いていると汗が流れてきます。

1時間程歩いて一ノ倉沢出合に到着。

 

黄色矢印の尾根がテールリッジ、赤矢印の三角形の岸壁が衝立岩、青矢印の衝立岩奥の壁が烏帽子岩奥壁です。

春、雪渓が繋がっている季節はテールリッジまで雪渓を詰めるだけですが、雪渓が溶けきってしまう夏秋はテールリッジ手前にあるヒョングリの滝を登ることができないため、高巻きして懸垂下降を行ないます。

テールリッジはのっぺりとした岩稜で、ロープを出すほどではないものの、岩がつるつるしていていやらしい尾根です。

 

ディレッティシマ取付きに到着、この時点で11時30分。

明るい間には帰れない事を確信し。

暗闇での懸垂下降で降り口を見失わないよう、下降路を見極めながら登ることをパートナーと確認します。

幸い烏帽子沢奥壁に他パーティはいないようなので、同ルート下降できそうです。

 

変形チムニーが近づいてきました。

 

わかりにくいですが、青矢印が変形チムニー赤線がディレッティシマです。

このピッチのグレードはⅥ-で決して高いグレードではありませんが、水が染み出してびちゃびちゃな上、プロテクションも取れず緊張感のあるピッチでした。

繁殖した苔を引きはがし浅いクラックにナッツをかませながら、落ちないはずと信じて登ります。

ルート取りとしては、変形チムニー左の壁を登った後、変形チムニー出口方向にトラバース、少し右上して凹角を詰めます。

わかりにくい!

 

核心ピッチ

 

赤線がディレッティシマ。

グレードは5.10bで核心ということになってますが、このピッチだけは岩が硬く、なぜか新しめのボルトも取り付けられており、快適なクライミングが楽しめました。

5.10bがしっかりと登れるのであれば、ルート全体で一番楽しいピッチです!

上からの図

 

名前通りとてもまっすぐです。

 

次のピッチは5.10a。さっきのピッチよりグレードは一つ下ですが、ここが一番怖いピッチでした。

上からの図

 

(・_・)

まず草だらけでびちゃびちゃな上に、スタンスもホールドもぐらぐら。

さらに残置のプロテクションは全くなく、苔や泥をいくら剥いでもプロテクションが取れそうな箇所はほとんどありません。

結局プロテクションが取れたのはアンダーホールドに突っ込んだカム一個でした。

私の支点構築が下手くそというのもありますが、ここまで支点が取れないとなると、精神衛生上大変よろしくない。

このピッチは当分再登したくないですね。

 

この上にまだ2,3ピッチ残っていましたが、セカンドを引き上げ切った辺りからどんどん暗くなってきたため、チキってここで登攀終了。

下降ルートは当初の予定通り同ルート下降を選択しました。

浮石が多いため後続のパーティがいた場合、同ルート下降は選択するべきではありませんが、いないからいいのです。

しっかりと確認しながら登ってきた甲斐あって懸垂下降はスムーズに行うことができました。

テールリッジもFIXロープが張ってあるため(ロープはボロボロですが)、降りる方向に迷うことなく進めました。

こういった点は一ノ倉の登りやすい点ですね。

 

 

今回は結局完登できずに途中で帰ってきてしまいました…

核心を越えられたからok、と言い訳しながら下山しましたが、どうしても後ろ髪を引かれる思いが消えません。

当分再登したくないとか言いながら、すでに再登する気満々です。

頭が悪いですね。

今の実力的に改善策は前夜初しかないです。

だんだん寒くなってきたので、今年中のトライは諦めます。

翌年中に再登したいと思います!

 

 

 

【新宿西口店】西田由宇