2018年11月のテーマ|登山の日

 

11月登山の日 「深山に雪来たりて岳人の心躍る」


おすすめの山 「間ノ岳」

 

今回は「間ノ岳」を紹介しましょう。深田久弥の著書「日本百名山」-新潮社-によると、
「われわれ山好きな者で、中央線の汽車が笹子トンネルを抜けた時、真正面に、甲府盆地の彼方を仕切った白峰三山の異様に目を凝らさない者はいないだろう。その三つの中央、左右に長い尾根を引いてゆったりした山容が間ノ岳である。(中略)まことに白峰山脈と赤石山脈とのジョイントにふさわしい貫録をそなえている。」と紹介されています。今年、みなさんも冬の間ノ岳を訪れませんか。

 

(行程)
1日目 奈良田-池山吊尾根-池山小屋(冬期小屋泊) 
2日目 池山小屋-吊尾根分岐-北岳-北岳山荘-間ノ岳-農鳥小屋(テント泊)
3日目 農鳥小屋-農鳥岳-大門沢下降点-大門沢小屋-奈良田ゲート
北アに比べ、冬に天候が安定する傾向の南アですが、ひとたび荒れると3000mの稜線は全く行動が不可能になります。少なくとも3日間の予備日・食料・燃料は必携です。(気軽には訪れることが出来ない山に登山の真があると思います。心して計画ください。)
今年の台風の影響で大門沢の登下降が難しい状況にあります。池山吊尾根からの往復の計画が無難でしょう。

 
コースの特徴

間ノ岳に直接登る夏の一般路はなく、冬期は弘法小屋尾根から直接登る記録もありますが、大門沢から農鳥岳を越えるか、北岳から縦走するのが一般的です。池山吊尾根は池山小屋までの急登をこなして、八本歯のコル付近でロープを使用して慎重に行動しましょう。筆者は2度厳冬期の北岳に登って、北岳頂上から北岳山荘に向かう西・東どちらの斜面も通過しましたが、滑落の可能性が高く、慎重にロープを使用しました。稜線は概ね、強風に注意して行動すればよい広さですが、ところどころ岩峰の巻きや、斜面のトラバースもあるので慎重に行動することが必要です。

 
冬山のリスクと防御
 
ひとたび晴天に恵まれると大変美しい姿を見せてくれる冬山ですが、そこには様々なリスクが隠されています。雪の山に登る第一歩はリスクを知り、リスクから身を守る防御の力を身に着けることから始まると言っても過言ではないでしょう。今回は転滑落・雪崩のリスクから身を守る用具の知識を中心に進めたいと思います。
 
ピッケル・アイゼン
岳人の魂と言われるピッケルですが、歩行時のバランス確保・滑落停止や確保支点等、雪山でこれほど多用途に使えるギアはないでしょう。現在、主に雪壁・雪稜に使うマウンテニアリング用とアイスクライミング・ミックスクライミング用の2つのタイプに大別されます。アイゼンも同様に2つのタイプがありますから用途に合ったものを選ぶことが肝要です。
 
ピッケル(アイスアックス)
マウンテニアリング用(雪山)
一般的な雪山から岩稜・雪稜等のバリエーションルートまで汎用性の高いピッケル。雪上歩行と登攀の割合によって適切なシャフトの長さを選びやすいように約55㎝から65㎝までラインナップされています。主に雪上の歩行が多い場合はトレッキング(一般雪山)モデルが軽量で使いやすい。同じ強度スペックでシャフトが短めで、主に急な雪面を登る用途に使うスキーマウンテニアリング(スキー登山)モデルもあります。
※ピッケルの長さについて
ヘッドを握って、体側に添わせて直立した時にくるぶしに来る長さを標準として各自の山行内容や技量に応じて調節しましょう。
テクニカルマウンテニアリング用(冬期登攀・アイスクライミング)
冬期のテクニカルな登攀ルートにおいてアイスセクションやドライツーリングセクションだけでなく、急峻な雪壁まであらゆる状況下で使いやすいタイプ。長さはほぼ50cmで共通。近年ではオーバーハングをドライツーリングで登り、岩壁から一筋垂れ下がる氷柱に乗り移る等、非常に高難度なルートを登るための高難度ドライツーリング・アイスクライミング専用のモデルもあります。

 

【おすすめピッケル】

グリベル エアテックレーシングJ

¥18,000+税

シャフトは細身で手袋していても握りやすい。石突はしっかり刺さって安心感のある肉厚タイプを日本向けに採用。

 

アイゼン(クランポン)
マウンテニアリング用(雪山・スノーハイキング)
雪上の歩行から氷化した斜面や、凍てつく岩稜までオールラウンドに使用できるアイゼン。雪上歩行用に軽量なアルミアイゼンや、傾斜のない低山や林道のアプローチ用に4~6本爪の軽アイゼンやチェーンアイゼンもあります。
テクニカルクライミング用(冬期登攀・アイスクライミング)
垂直の氷柱や、垂直からオーバーハングの岩場を登るためのアイゼン。フロントポイントがモノ(一本)のタイプが主流。

 

【おすすめアイゼン】

アイゼン G12ニューマチック

¥21,300+税

森林限界を越えるような雪山全般に安心して使えます。アイゼン購入時は登山靴をお持ち下さい。

 

雪崩対策装備

近年雪崩対策用具(雪崩ビーコン・プローブ・ショベル)が大変使いやすくなりました。 雪山に向かう際は、携行するが常識と言われています。しかし雪崩ビーコンは高価でもあり、命を託すたいせつな機器です。各装備を準備するポイントを整理しましょう。
 
雪崩ビーコン(アバランチトランシーバー)

雪崩に埋没した際に、機器から発信される電波を受信して埋没点を特定します。 発信周波数は457kHzで世界共通です。発信は1本のアンテナ、受信は3本のアンテナで行う雪崩ビーコンが標準です。現在 埋没した人までの距離をデジタル表示するだけでなく、自分が埋没したときにより早く探索されるように、発信アンテナの方向を自動的に切り替えるなど各社は工夫を凝らしています。 機能的には各社ともに一定の水準に達していますから、自分の雪崩ビーコンの特性をよく理解して、捜索訓練をする事が重要です。

 
ゾンデ(プローブ)・ショベル

雪崩ビーコンだけでは埋没者を救出出来ません。プローブは雪の中に埋没している場所を特定するのに使います。長さは300センチが標準で、径が太くて、埋没深を確認しやすい目盛を刻んである物を選びます。引き伸ばすのにコツが必要ですから、公園などで訓練をしましょう。ショベルは素早く埋没した人を救出する重要な用具です。ショベルを有効に使えば、埋没深が1mでも10分程度で救出出来ますが、手で掘れば1時間以上かかるというデータがあります。 軽量でも十分な強度のあるショベルを選びましょう。

 

【おすすめゾンデ】

ビーシーエー ステルス270

¥7,500+税

適度な長さで軽量・コンパクトなスタンダードモデル。

 

【おすすめショベル】

ビーシーエー ボンバー ショベル ビーツー エクステンション

¥7,000+税


作業効率の高い中型サイズの軽量ショベルです。

 
そもそも雪崩に合わないために
埋没した人を助けるのに重要な役割を持つ雪崩対策装備ですが、天候を把握して、危険性の増大する大量の降雪や気温の急激な変化が観測された時は入山を控える。地形図をよく見て、より雪崩に遭遇しない登路を検討する。登山中の積雪や雪崩の発生状況などの現地観察がより安全な登山につながります。アバランチギアは雪崩ビーコン・プローブ・ショベルの3つが揃って初めて雪崩に対処することができます。また、トレーニングなしに使いこなすことが難しいので、登山学校では机上・実技の講習会を実施しています。ぜひ講習にご参加ください。
 

「備えあれば憂いなし」皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。